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Waterfalls in Japan

夏休みの自由研究から始まった、滝をめぐる家族の冒険譚!

冬のリスク

華厳の滝から中禅寺湖の湖畔を通り抜けて、山奥へ向かって行くと、
だんだんと積雪が増してきます。

俺:「げげげ。これ、大丈夫なんやろか…」

最近、新型になった我がベンツは、一応、冬用タイヤを履いてはいます。それも4WDで。
なので、大抵のことはなんとかなるハズですが…。

俺:「雪道の走行経験が少ないことが、最大の不安要素か…」

湯滝_その1
湯滝(落差50m)・全景】  (栃木県日光市湯元 『湯川』

雪勢は衰えることなく、その後も、積雪は増え続けます。

途中、動けなくなったFF車がJAFのお世話になっていたり、
車底を、あからさまに雪がサクサクと擦るようになったりと、
否が応でも、緊張感が高まってゆく。

そして湯滝の駐車場に着く頃には、雪の深さは、なんと30cmを超えていました。

俺:「お陰さまで、あのバカ高い駐車場が、フリーでとめられたんだけどね」

湯滝の映像を見ながら呟くわたくし。

兄:「いやいやそいうい問題じゃないだろ、これ」
娘:「そう!お父さん、そいういう危ないことは止めて?」
俺:「ちゃんと無事に帰って来ただろうが」
子:「そうじゃないよ!」

急に口調を強める次男君。

子:「こういうのを見ると、おやじって、普段からこんな無茶してるんじゃないかって、みんな心配するんだよ!」
妻:「……」

う…。

むう。確かに、そうなんだけど…。
そうなんだけど!

う~む。

子どもたちの指摘には一理も二理もあって、苦しいわたくしの立場。

湯滝_その2
【湯滝・上部アップ】

俺:「しかし、リスクを冒さなければ、冬季の滝は撮影できないぞ?」

もともと、オリジナル・カレンダー作成用に、冬場の滝写真が欲しいというところから始まった話です。
そこを突いてみるわたくし。

俺:「冬の美しさを写すためには、それなりの代償が要る」
娘:「それは…そうかも知れない…」

いや、どう考えてもそうでしょ。

俺:「だって見ろ、この映像美」

次々とテレビに映し出される、雪景色の湯滝
滝音だけが響き渡る静寂。

俺:「それだけの対価を払っているからな」
子:「そう、至福の冬空間なんだよなあ」
兄:「確かに荘厳ではある」
娘:「キレイなんだけどね…」
妻:「……」

ふと、妻と視線が合います。

俺:「なんだい?」
妻:「別に、あなたがリスクを冒すくらいなら、冬の写真なんていらないわ」


沈黙。




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自分で作ってみようか?

娘:「ねね、お父さんって、自分で撮った華厳の滝の写真って、ないよね?」
子:「なんで、そんなことを聞く?」
娘:「だって、ほら、廊下に華厳の滝の写真がないからさ」

我が家では、わたくしの撮影してきた滝の写真が、廊下にズラーっと飾ってあります。
どれもこれも、家族会議で承認された、厳選された傑作ばかり。

娘:「うん、確かに傑作もあるかも知れないけど…」

あるかも知れない…って、
どう見ても、傑作だろ!

お嬢さん、何気に失礼なことを言ってますな。

娘:「やっぱり、華厳の滝って、日本の三大瀑布じゃん」
俺:「むかし撮ったんだけど、家族会議で却下されました」


間。


娘:「じゃん…」

華厳の滝_その1
華厳の滝(落差98m)・全景】  (栃木県日光市中宮祠 『華厳渓谷』

実は、先般のこと!

わたくし、新年の滝カレンダーを買おうと思って、ネットやら書店やらを探しまくっておりました。
ところが、
本年は滝カレンダーがまったく出ていなくて、

店:「滝のカレンダーですか。見かけませんね」
俺:「ホントですか。参ったなあ」
店:「敢えて挙げれば、コレですけど」
俺:「え~と、葛飾北斎・諸国瀧巡り・全八図………」

わたくしが求めていたものとは違う……

華厳の滝_その3
【華厳の滝・全景】 (明智平より遠望)

子:「それなら、お父さん。自分でカレンダー、作ったらいいんだよ」

そこへ、次男君から絶妙なアドバイス!

俺:「それだ!」
子:「僕なら、1月はコレにするし、2月ならコレかな…」

廊下の傑作写真を指さしながら、早速、候補を挙げていく次男君。

子:「あ、でも、これだと、冬の写真が少ない」
俺:「うむ」
子:「お父さん、撮りにいったら?」
俺:「う~む」

冬の滝姿を撮影するとなると、
自動的に、候補が、近場の観光滝に限られてきますな。

娘:「でもでも、せっかくカレンダーにするんだから、メジャーな滝じゃなきゃね!」

華厳の滝_その2
【華厳の滝・遠景】

というワケで、
冬の装いを始めた華厳渓谷を訪れてみたのでした。

俺:「おのれ、リベンジ!」

ところが!
そこに、わたくしを阻むものが!




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おお!


遂に、三本滝群最後の白滝に辿り着きました。

俺:「ああ、思い返せば長かった」

そう。

わたくしたちが初めて三本滝を訪瀑したとき、
次男君が「滝の落差」について、ひとつの疑問を投げかけてくれました。
それが、そもそもの始まりだったのかもしれません。

あ、もちろん直接のキッカケは、
先日、娘と一緒に三本滝の頭を訪瀑したからですけどね。

俺:「いやあ、感慨深いなあ…」

白滝_その1
三本滝群・白滝(落差20m)・全景】   (長野県松本市安曇 『小大野川』

意外だったのが、
滝壺に立って見上げると、白滝の落差が、せいぜい20m程度なこと。

俺:(あれ、こんなに低かったっけ?)

滝見を始めたばかりの頃は、この白滝が、30m以上の落差を持つ“轟瀑”に見えたものでした。
しかし、家族みんなで滝を3年間見続けてきた今、それが、ひとつの幻想であった、というか、錯覚であったことが分かるのです。

娘:「それって、あたしたちの滝見力が上がったからだよね」

で、わたくしのビデオ解説に口をはさむお嬢さん。

俺:「滝見力?
兄:「なんだそりゃ」
子:「滝見力は変。それを言うなら滝見道
兄:「もっと変だろ!」
子:「つまり、滝見の修行を極めると、一見して滝の真実が分かってしまう、いわば宗教的な悟りの境地に達します」

みんな:「「はい?」」

子:「お父さん、おめでとう!」
俺:「は? おめ?」
子:「遂に正覚者だね!」
俺:「し…」


沈黙。


この子、一体どこで覚えるんだろう、そういう難解語。


【三本滝群・白滝・吊橋の上から俯瞰】

白滝滝壺で、手元の簡易高度計でもって標高を測ると、1759mでした。
三本滝の頭の落口での標高が1971mでしたから、
三本滝群全体の総落差212mになります。

兄:「へえ。実は落差200mを超える巨大瀑布だったってか!」
子:「ほら見ろ、僕の言った通りだったろ!」
妻:「そう言えば、昔、あなたからそんな話を聞いた記憶が…」
娘:「こんなに凄いなら、あたし、もっとちゃんと見とけばよかった!」
子:「ハン!後悔先に立たず」

落差の話題で盛り上がる我が家!

子:「でも、今年は凄いゼ」
俺:「何がよ?」
子:「長らく懸案だった謎を、これで二つも解いたじゃん」
妻:「二つ?」
娘:「ひとつは、三本滝・総落差の謎だね」
子:「そ!」
兄:「もう一つは?」
子:「雲間の滝主瀑が、神秘のベールを脱いだことだよ」


間。


みんな:「「おお!」」




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激論!

娘:「どうしてなの?」
俺:「何が?」
娘:「どうして、黒沢の滝の方は、今回水量が少ないワケ?」

ふむ…

つまり、前回、次男君と梅雨明け直後に行った時と、
今回、わたくし単独で行った時とを比較してみると、

【水量】
本沢の滝 前回<今回
黒沢の滝 前回>今回

どうやら、お嬢さんの目には、このように見えているらしいのです。

子:「らしいって、僕にもそう見えるけど?」
俺:「…」


三本滝・黒沢の滝(落差60m)・全景】  (長野県松本市安曇 『小大野川』

兄:「これはもう、上流域の雪代量の差じゃね?」
俺:「ほほう…」

つまり、
黒沢の滝の上流域にある雪は、だいたい融雪し終わったが、
本沢の滝の方は、今が雪解け真っ盛りってワケか。

娘:「あたし、違うと思う」
俺:「何が違う?」
娘:「雨が降った後に、水を貯めておける力の差っていうか…」
子:「保水力」
娘:「それでしょ!」

むむう…

つまり、黒沢の滝の上流森林は、比較的、保水力が低いため、
雨が降ると、一気に大量の水が流れ落ちる。

対して、本沢の滝の上流森林は、保水力が高いため、
雨が降っても、急激には増水しない、と。

子:「どっちだろうね~」


【三本滝・黒沢の滝・左岸側】

兄:「雨水は速攻で流れ出すけど、雪は解けるまでに時間がかかる」
子:「それだ!」
兄:「このタイムラグが現象化しただけだろ」
娘:「はあ?保水力の差でしょ」
子:「それもある!」

間。

娘:「あんたねえ、どっちの味方なの?」
子:「フ、正義の味方」


【三本滝・本沢白滝上流の小滝】

俺:「まあまあ、お前ら、落ちつけや」

なんだが話がこんがらがって来たので、
みんなのクールダウンを図るわたくし。

俺:「まあ、あれだ。森林域の保水力の差は、夏の水量の差となって現れているワケだし、また、雪代の多寡は、春の水量の差となって現れているワケだ。結局、本沢の方が集水域が広いから、保水力のポテンシャルは、こちらの方が高くなる。したがって、本沢は、常時、水量が安定していると判断できるな。これに対して、黒沢の方は、集水域が狭くなる分、水量の増減が激しくなるのは当然だろう。そう、この集水域という考え方は、大事なポイントだ。だからそういうことで、今回は、たまたま黒沢の水量がグッと減り始めたところに、運よく出会わせた、という所が真相じゃないか? そういう背景があって、今回の、季節による水量増減の逆転現象が起きたんだろう。そういう意味で、君たちの仮説は、どちらも正しいと思われるな。うん、俺はそう思うよ」


沈黙。


娘:「…うわぁ」
子:「長いし」
兄:「三行で」




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カワイイ~


子:「前より轟瀑になってないか、これ?」
妻:「そう見えるわね」

確かに、以前に次男君と訪瀑した時より、本沢の滝の水量が増えているようです。

本沢の滝_その1
三本滝・本沢の滝(落差40m)・全景】  (長野県松本市安曇 『小大野川』

妻:「あの時は、確か大雨直後で、梅雨明けの翌日だったっけ」
俺:「そうそう」
娘:「お父さんが、パンフを超えた!とか言って騒いでた時だ」

いや、
単に感動しただけで、騒いではいないハズ…

娘:「あたし、増水の仕方が違うんだと思う」
子:「なんだそれ?」
娘:「あたしの時は、雪解け増水」
子:「あっ!」
娘:「そ。あんたが行った時は、大雨増水」
子:「そうか! 季節によって、増水の仕方が違うのか!」
娘:「だってほら、今回の写真は、滝水が雪解けブルーしてるし」

まてまて。
そりゃ、光加減と撮影時間帯の問題だろう?

妻:「ブルーが綺麗に写るようになったのは、カメラが新しくなったからじゃない?」
俺:「お、それもあるな」

つまるところ、新たなカメラを使いこなすまでに、俺様の撮影技術が異常進化した!

娘:「は?」
子:「…」
妻:「…」

だからね、撮影技術が進化___

子&娘:「「ないない」」


【三本滝・本沢の滝・落口アップ】

前回、次男君たちと訪瀑した時とは違って、
今回は沢靴の強みを活かし、飛沫を避けつつ、滝壺ギリギリまで詰めて接写してみました。

俺:「だから、迫力ある写真が撮れたと思うんだけどなあ…」


間。


娘:「うわあ、お父さん、カワイイ~
妻:(だめ!そんな言い方しちゃ!)




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