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Waterfalls in Japan

夏休みの自由研究から始まった、滝をめぐる家族の冒険譚!

存在の理由

ところで、「禿(かぶろ)の滝」の右岸上方には、林道が拓かれています。

俺:「ホントに、滝のすぐ右岸崖上を走ってるんだ」
娘:「すぐって?」
俺:「直線距離にして、わずか30mあまり」
兄:「マジ、すぐやん」

地図上で確認すると、これが驚きの近さ。
文字通り、隣接していると言ってよいでしょう。

俺:「そして、この猿間洞(えんまぼら)沢には、万古渓唯一の堰堤があると言ったな」
娘:「うん」
俺:「堰堤が造られた原因は、この林道だと思われるんだ」
子:「おう、やっぱりか……」
娘:「は? どゆこと? あたし、わかんないんだけど」
俺:「この映像を見て欲しい」

無名滑滝@猿間洞沢_その1
猿間洞沢右岸の無名滑滝(目測落差55m)・概観】
(長野県飯田市千代・万古渓谷 『猿間洞沢』

こちらは、禿の滝から5分ほど下流の、猿間洞沢の右岸にかかる無名滑滝

俺:「この滝の上に、問題の林道があります」
妻:「なかなかの規模の滑滝だけど」
俺:「おう、目測落差は55mや」
兄:「水が無いし」
子:「でもまあ、この際、水量は問題じゃないよね」
娘:「この砂礫の山が問題?」
子:「そう! 映像だと、滝壺を埋め尽くしているけどさ」
娘:「うん」
子:「林道が無かったら、本来は、落ちてくるハズの無い砂礫なんだよ」


間。


兄:「ああ」
娘:「なるほど」
妻:「そういうワケね」

堰堤@猿間洞沢_その1
猿間洞沢・堰堤を上部から】

林道が拓かれると、その下流側にある谷が荒れるのは、よくある話です。

俺:「猿間洞沢の場合、この滑滝が、林道からの崩落土砂を集めちゃっている感じなんだ」

この滑滝以外に荒れてる場所はありませんでしたし、
むしろ、唯一の土砂崩落箇所と言ってよいでしょう。

俺:「まさに、一点集中で崩落中」

言ってみれば、富士山大沢崩れのようなものでしょうか。

俺:「ゆえに、下流側に、この巨大堰堤が造られたワケだ」
娘:「そゆこと」
子:「もう、堰堤の荒れ具合が、まさしくね」
妻:「でも、このお陰で、万古渓谷本流の渓相が守られてるんでしょう?」

ま、そういうことになりますか。

兄:「では、こちらの堰堤様が、万古の守護神であらせられた、と」
娘:「アホでしょ! 美しい景観の破壊神でしょ!」
子:「まてまて! そもそも『堰堤が神』って、そこからおかしいから!」

カブロ下段落口上流_その1
【禿の滝・下段落口の上流部】

禿の滝から猿間洞沢の上を林道が横切る地点までは、
遡行時間にして、わずか20分あまりでした。
下流から遡行するより、遥かにお手軽。

俺:「って言うか、最初から林道から下降すべきだったね」
子:「その心は?」
俺:「たぶん、ロープ無しでも行けちゃう」
子:「ああ……」
娘:「でもお父さん、プチ沢登りがしたかったんでしょ?」
俺:「それは、まあ……」
娘:「じゃあ、いいじゃない」

こうして、「禿の滝」全貌解明の旅が終了しました。
残された万古渓谷秘瀑は、あと「コウボウの滝」のみ。

子:「行く時間あんの?」
俺:「……」




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おかっぱ頭

支流から見ると、無名滝の右岸下流に合流してくる本流。
そこにかかるのが、この「禿の滝・上段(本瀑)」です。

俺:「まさに無名滝の撮影が終わって、上段にカメラを向けた瞬間やった」

そこに、サァーっと陽が差し込んで来ました。

カブロの滝_その1
禿の滝・上段・本瀑(落差11m)・概観】
(長野県飯田市千代・万古渓谷 『猿間洞沢』

子:「おお!」
娘:「う~ん、新緑がキレイ~」
妻:「ナイス・タイミング!」
兄:「鬱蒼とした下段と、正反対やんけ」
子:「そして瀑布の頭が、ちゃんとおかっぱ頭なってるし!」
娘:「これが本瀑で決定!

しかも、禿の滝は長い“歴史”を経ているらしく、
それが証拠に、あちこちに磨きこまれた旧流路を発見できます。

子:「南信州に雪なんて積もらないし、水だけで磨きこまれてるな」
妻:「だから、流れが複雑になってるのかも」
兄:「少なくとも万単位の年月」
娘:「歴史のロマン~」

そうして始まる、我が家の滝分析

娘:「ねね、大きく分けて、三段の段瀑っぽい?」
兄:「どうだろ、下二段と最上段の規模が違い過ぎるし、それはナイんじゃね?」
妻:「まあ、離れてるみたいだし」
子:「それ。おかっぱ頭の部分だけで、下二段の3~4倍はあると見るぜ」
娘:「落口が遠目だから? ホントはもっとデカイ?」
俺:「せやな」

兄:「それにつけても、このおかっぱ頭のインパクト!」
娘:「まんまだよね」
子:「明らかに、滝の名前の由来だねえ」

そうそう、
落差は、いつもの如く高度計11mに対し、目測6mでした。

カブロの滝_その2
【禿の滝・上段落口】

子:「ウム、右岸の溝部が、昔の落口」
妻:「ツルツルに磨きこまれちゃって…」
子:「侵食の様子がアリアリと分かるねえ」
娘:「ねね、“柔らかい花崗岩”

おお!
確かにこんな感じ、柿其渓谷牛ヶ滝で見たことがありますな。

兄:「で、見ればみるほど、このおかっぱ!」
子:「ホント、おかっぱ頭
娘:「ねね、別角度の映像はないの?」
俺:「ホレ!」

カブロの滝_その3
【禿の滝・上段上部】

娘:「崩れた……」
兄:「これは、最早おかっぱでは無い」
子:「だらけたな……」

真正面が、おかっぱ頭のハイライトでした




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インスピレーション

秘境「万古渓谷」の中の、秘瀑中の秘瀑でありながら、
殆ど取り上げられることの無い「禿の滝」(かぶろのたき)

その理由の一つが、
禿の滝がかかる猿間洞沢(えんまぼらさわ)にあると思われます。

俺:「沢の途中に、デッカイ堰堤があるんだわ」
子:「マジで?」
俺:「マジで!」
子:「マジでか……」
俺:「思うに、万古渓谷唯一にして最大の堰堤ではないだろうか」

万古渓谷本流が、沢登りやイワナ釣りで名を馳せているのは、
堰堤などが全く存在しない、自然のままの美しい渓相があるからでしょう。

俺:「それで期待を込めて猿間洞沢に入ると、突然ドカーンと堰堤
子:「まるで詐欺だろ」
俺:「そうなんだよ、分かってくれるか」

それでも、めげずに沢を登ってゆくと、
件の禿の滝・下段に行き着くワケです。

兄:「それが3m程度のカス滝だった……うん、心が折れるな」
娘:「ヤダ~」
俺:「でも聞いて欲しい。禿の滝・下段は、ホントに下段だったのだ」
娘:「それってつまり…」
子:「禿の滝は、やっぱり複合大瀑布だった?」
俺:「見よ!」

禿・無名滝_その1
禿の滝・支流無名滝(落差3m)・概観】
(長野県飯田市千代・万古渓谷 『猿間洞沢』


沈黙。


娘:「……」
妻:「また微妙な……」
俺:「ハハハ。落差は高度計だと3m。目測だと2mだ!」
兄:「いや、だから、なんだよコレ」
子:「美しい直瀑なのに、嬉しくないわ」
俺:「まあ、聞いてくれ」

禿の滝・下段の滝壺から5mほど高度を上げると、
流路的には本流の如く真直ぐなんだけど、水量的には明らかに支流な無名沢と、
流路的にはそこに横入りしてくる、水量たっぷりな本流が出会っています。

俺:「その出会いにかかる、支流の無名滝なのだよ」
子:「地図には、支流の水線が無いね」
俺:「そう。なのに本格的に切り立ってて、滝の奥に続くゴルジュが凄いんだ」
娘:「ゴルジュに入ったの?」
俺:「まさか」
娘:「なのに、凄いって分かったの?」
俺:「ああ。いわゆるインスピレーションってやつだな」

禿・無名滝_その2
【禿の滝・支流無名滝・落口】

子:「おお、ゴルジュ……」
兄:「なるほど。これはインスピレーションが湧くかも知れん」
妻:「なかなかの迫力ね」
娘:「ねね、全景写真より落口の写真の方が凄いって、どゆこと?」
子:「それはまあ、その…なんだろ」

ズバリ、滝の神秘でしょう。




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何かが違う

昨年来、ずっと気になっていた万古渓谷の秘瀑「禿(カブロ)の滝」

兄:「へえ。カブロって、禿(ハゲ)って字を当てるんか」
俺:「その昔、小さな女の子のおかっぱ頭を、そう呼んでいたらしいわ」
子:「おかっぱ頭……?」
娘:「ほら、千と千尋の神隠しに出て来るハクみたいな髪型だよ」
子:「ああ、アレか!」

カブロの滝_下段その1
禿の滝・下段(落差5m)・全景】(長野県飯田市千代・万古渓谷 『猿間洞沢』

前回、万古渓谷を遡行した際に地元の古老の方から頂戴した遡行図によると、
禿の滝、位置的にはこちらの映像の滝になるハズなのです。

俺:「ところがこの滝、落差が4mに満たないのだよ」


間。


娘:「つまり、どゆこと?」
妻:「う~ん。あなた、映像に、自分で『落差5m』って出してるわよ?」
俺:「コレ、簡易高度計によれば、なんだ」
子:「ははあ。また高度計がサバを読んだのか」
俺:「そうらしい」
娘:「じゃあ、実際の感じはどれくらいだったの?」

滝壺に立ったわたくしが手を伸ばして、あと1mくらいで届く高さ、と言えばよいでしょうか。

兄:「あ~、なら3mが妥当」
妻:「そうね」
子:「目測じゃなくて、自分の背丈を基準にしたらってこと?」
俺:「まあな」
子:「そうすると…そうなるのか……」
娘:「もうこれ、簡易な高度計なんか止めて、ちゃんとした高度計買うべき!」
俺:「む」
妻:「それ、あなたがお父さんにプレゼントしてあげてね~」
娘:「それはヤダ~」

まあ、そんなワケで、
この滝、古老から聞いていた禿の滝のイメージからは程遠く……。

俺:「それに普通、3m程度にしか見えない小滝に名前なんて付けないだろ?」
子:「当たり前だ」

結局、わたくし、この滝が禿の滝の一部ではないかと推測。
さらに上流へと、猿間洞沢を遡ってみることにしたのでした。

カブロの滝_下段その2
【禿の滝・下段・滝壺】

娘:「滝姿だって、おかっぱ頭と全然関係ないし」
妻:「明らかに違ってるでしょう」
兄:「せやな」
子:「よし。親父、もったいぶらないで、早く種明かししようぜ!」




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