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Waterfalls in Japan

夏休みの自由研究から始まった、滝をめぐる家族の冒険譚!

レジェンド

子:「どちらかと言えば、冬の氷瀑の方が有名だねえ」
俺:「せやな」
子:「だから、この若葉の時期ってのは、まさに穴場だと思うんだ」
娘:「うん、キレイ」

以前から、次男君よりリクエストを頂いていた
長野県大町市にかかる「八坂大滝」
この度、満を持して、「バイノーラル録音」にて滝姿を録って参りました!

妻:「これ、ひょっとして水量が少ないのかしら」
俺:「いや、むしろ多いくらいだろう」
妻:「これで?」
俺:「ああ」
娘:「つまり、夏にはめっちゃショボくなるパターンだ」

八坂大滝_その1
八坂大滝(落差50m)・概観】(長野県大町市八坂石原)

そして、次男君が、常々、滝と同時並行でチェックしているのが、
歴史上の偉人である「弘法大師・空海」「俳人・松尾芭蕉」

子:「滝とともにあるレジェンドだからね」

で、今回の八坂大滝の側にある祠には、
「その弘法大師が祀られている」というワケです。

子:「今回、なんで弘法大師が祀られているのかよく分かんないんだけど…」
娘:「は?わかんない?」
子:「そんなのよくある話だし」
娘:「うわあ、意味不明~」

俺:「でも、確かに際立った云われは無いらしいな」
妻:「伝承が消失してるのかしら」
娘:「むむむ」
子:「何より大事なのは、滝がレジェンドを背負っているって事実なんだよ」

八坂大滝_その2
【八坂大滝・落口】

観瀑当日は、雲ひとつ無い晴天で、
夏の始まりを予感させる気持ちの良い日でした。

八坂大滝は、裏見の滝としても有名なのですが、
わたくし、裏見はそっちのけで、ひたすら正面から観瀑していました。

俺:「この奇岩ぶりが、なんとも言えんわ」

あちこちに開いている奇妙な穴状の窪み。
崖を滴りおちるような不思議な染み。

俺:「まさに奇景だ」

それらが圧倒的質量でもって、
ドーンオーバーハングしてくるのです。
滝前で観瀑していると、奇妙な景観に取り込まれてしまう錯覚に囚われる……。

俺:「いきなり、異世界に放り出されたみたいだな」

八坂大滝_その3
【八坂大滝・上部遠望】

子:「つまりは弘法大師というレジェンドのオーラ」

いや、だからなんで、そういう風に結論が飛躍するんだよ。

娘:「違うでしょ。滝の美でしょ」
妻:「そもそも詳しい伝承が残ってないのに、オーラ?」
子:「宗教ってそういうもんだし」

いやいや、そういう話じゃないから。

子:「はあ、みんな底が浅くて泣けるぜ」
娘&妻:「「はあ?」」
俺:「何言ってんだお前」
子:「不思議な景観だからこそ、お大師様信仰を引き寄せるんだろ?」
俺:「お…」
娘&妻:「「……」」
子:「これぞ、レジェンド・パワー!





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一理あるかも……
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春先の一瞬

以前、ヒコサの滝を訪瀑した折、いい温泉があると聞いていたので、
そのまま県境の山を越え、小谷温泉の山田旅館へ日帰り入浴に行きました。

俺:「おや?ナビに滝マークが出ているな」

峠を越え、いよいよ温泉が近づいてくると、
ふと目にとまった滝マーク。
早速、九十九折のカーブの先で車を停め、目を凝らしてみたのですが……

俺:「滝?どこに??」

そこで、山田旅館に到着するやいなや、
旅館の女将さんらしき方に〈滝の行方〉を聞いてみたのです。
そしたら……

将:「春先にしか見れません」

そうなのです。
なんと季節滝だったとは!

尾丸滝_その1
尾丸滝(落差40m)・全景】(長野県北安曇郡小谷村中土 『松尾川』

俺:「これはスゲえ!」

そういうワケで季節を改め、
雪解け時期に訪瀑した尾丸滝
これが、久々にお目にかかる超・轟瀑でした!

俺:「うおおお、この腹に響いてくる震動よ」

雪解け水を集めた激流が
尾丸滝となって谷へと噴き出してくる様は、
まさに圧巻!

俺:「この重低音、バイノーラルで録るのが相応しかろう」

早速、新兵器を取り出し、録画を始めるわたくし。
それにしても、この濁流。
ここまで凄いと、見ているだけで怖くなってきます。

尾丸滝_その2
【尾丸滝・落口】

子:「ゲゲゲ!」
娘:「むっちゃ迫力!」

そして、テレビから流れ出る音と映像に圧倒される我が家。

俺:「まあ普通、季節滝なんかに名前は付かないからな」
妻:「だけど、この存在感なら納得だわ」
娘:「低い音でドドドドド!
子:「これ、激流と言うより、むしろ土石流とかの方が相応しくね?」
俺:「おー、それはあるかもな」

前回来た時の小沢ぶりと比較すると、
この水流の規模は、見積もり方次第では100倍を超えるでしょう。
春先だけのフラッシュ・フラッド!

娘:「フラッシュ・フラッドって?」
妻:「土石流のことよ」
娘:「ああ」
子:「フラッシュって単語が、まさに春先の一瞬を連想させるな」

尾丸滝_その3
【尾丸滝・中間部アップ】

娘:「ねね、一瞬って、実際はどれくらいの間、滝があるの?」
俺:「メインは、梅雨が終る頃までだろうなあ」
子:「あと秋雨の頃もだろ」
妻:「それから、台風や大雨もそうね」

そうやって考えると、
滝の姿をしている期間は、存外、長いのかも知れません。

子:「しかし、この春先の大迫力こそ、尾丸滝のピーク」
俺:「うむ!」
妻:「そうよね」
娘:「異論なし!」




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滝屋なのか

ここのところ、わたくしを魅了してやまない南信州
その懐奥深くに、
秘境「万古渓谷(まんごけいこく)があります。

わたくし、この夏、この万古渓谷滝群を訪問することを決意。

その際、下流の二軒屋キャンプ場から遡行するか、
それとも、上流の「唐沢の滝」からキャニオンニングするか、
非常に迷いました。

俺:「行き詰まった時、登攀よりは懸垂下降の方が、自分の力量に適うかなあ」

ウンウン悩んだ末、
「唐沢の滝」を出発して「魚止の滝」までキャニオンニングした後、
馬小屋沢の出会いまで戻って、そのまま馬小屋沢を遡行。
最後は林道を経由して「唐沢の滝」に戻る計画を立てます。

俺:「初めての沢泊だからな」

ツェルト等のギアをしっかり準備し、
一泊二日のゆったりプランで臨むことにしました。

唐沢の滝_その1
唐沢の滝(落差25m)・全景】(長野県飯田市千代 『万古渓谷』

俺:「う~ん、いい朝だ」

起点となる「唐沢の滝」駐車スペースに車をとめると、
わたくし、ハーネスやヘルメットを身に付け、ロープ等の準備を始めます。
辺りには野鳥の囀りが響き渡り、これからのキャニオンニングへのワクワク感が高まるばかり。

俺:「まずは、唐沢の滝からや」

橋の袂から看板に従って遊歩道を下ってゆくと、
程なくして「唐沢の滝」前に到着。

釣:「おや、こんにちは」
俺:「こんにちは」

するとそこに、家族連れの三人の方が
滝壺目掛けて釣竿を振っておられました。

唐沢の滝_その2
【唐沢の滝・落口アップ】

釣:「こりゃまた、どえらい重装備ですね。沢屋さんですか?」

わたくしの格好を見て、ちょっと驚いた様子の釣師のご主人さん。

俺:「あ、いえ。どちらかと言うと滝見が目的です」
釣:「じゃあ、カメラマンさん?」
俺:「いいえ。敢えて言えば、滝屋ですかね」
釣:「こりゃ珍しいね」
俺:「それはどうも。釣りの方はいかがですか」
釣:「ハハ。今日は水量が少ないからか、あまり良くないわ」

万古渓谷は、渓谷全体にわたって岩魚などが釣れるのだそうです。

俺:「ほほう。魚止の滝より上流にも、魚がいるんですか」
釣:「そう。むしろ、上流の方がいいかもね」

ここ万古渓谷は、かつて観光地として整備されたことがあって、
爾来、割と人の手が入り続けているのだそう。

釣:「その当時に、渓谷全体に魚が放流されたんじゃないかな」

よく見ると、
「唐沢の滝」滝壺にも、小ぶりながら沢山の魚を発見することができます。

俺:「ホントですね。こんなところにまで魚が」

唐沢の滝_その3
【唐沢の滝・滝壺】

娘:「へえ、魚かあ」
子:「釣りねえ。あんまり興味ないわ」
俺:「俺はやらないけどな」

だけど、沢登り関連の本には、
必ず「釣りと焼き魚」が、必須項目として載っていますな。

娘:「その場で食べちゃうワケ?」
俺:「普通はそうらしい」
娘:「新鮮そう」

一応、食べるコトには反応する娘。

子:「そんなことより、滝の息吹を感じようゼ」
妻:「そうね、結構キレイな滝だったのね」
俺:「うむ。万古渓谷のハイライトであるぞ」

「唐沢の滝」は、特にビデオ映像が映えますな。

娘:「でも、そうか。沢には、沢屋だけじゃなくて、釣師とかもいるワケだ」
妻:「沢によっては、きっと釣師の方が多いわよ?」
兄:「あるだろうなあ」
子:「ま、僕らは滝屋だけどな」

う~む。
滝屋…なのか?




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マイナー

俺:「思ってた程には、インパクトが無いなあ」

小西大滝_その2
小西川大滝(落差130m)・上部】(長野県飯田市上飯田 『小西川』

南信州で最も落差のある滝の一つ、「小西川大滝」
水量の増減が激しい滝らしく、
季節によっては、ほぼ涸滝と化すようなのです。

俺:「だから、わざわざ大雨時を狙って来たんだがなあ……」

実は、豪雨でそれなりの水量はありました。
しかし、滝の規模がでか過ぎて、
今一つ、インパクトに欠けてしまう……。

俺:「ま、せっかく来たんだし、映像だけでもしっかり撮ってゆくか」

小西大滝_その1
【小西川大滝・主瀑布概観】

子:「久々の巨瀑なんだけど」
娘:「木が邪魔で、全景がよくわからないじゃん」
兄:「水流細っ!雪解けに行くべきだったんじゃね?」
妻:「でも、だいたいの滝姿は想像つくでしょう」
俺:「あー、いや、うん」

実は、小西川大滝は、三方向から滝が合流する複合瀑布だったのです。

子&妻:「「は?」」

【小西川大滝の構成要素】

(一) 向かって右側から合流する、最も水流の多い、低めの滝。

(二) 中央断崖を駆け落ちてくる主瀑布。いわゆる「小西川大滝」本体。

(三) 向かって左側から合流する、最も水量の少ない滝。
  (落差は右瀑布よりちょっと高め。)


子:「そっちの映像はどした!」
俺:「それこそに埋もれてたわ!」
子:「落差は?!」
俺:「知らんわ!」


沈黙。


俺:「だから、本瀑しか撮影してないです……」
兄:「うわ~残念だわ~。まっこと残念だわ~」

小西大滝_その3
【小西川大滝・中段】

俺:「そもそも、そんなに知られてない滝だし…」
娘:「そんなにって?」
俺:「地元の人に道を聞いても、知ってる人が殆どおらんかった」
兄:「へえ、マイナーな巨瀑か」
妻:「マイナーって言葉と、巨瀑って言葉のギャップが凄いわね」

だいたい「小西川大滝」が有名になるには、
こう、不利な条件が多いと思うのです。

兄:「例えば?」
子:「季節によっては涸滝とか?」
俺:「そう」
娘:「緑に埋もれてるとか?」
俺:「そう。でも、最大の理由は、工事用の林道を延々と登り続けるんだよ」


間。


妻:「それは…」
兄:「全身全霊遠慮したい」
子:「僕、映像だけで大変満足しました」
娘:「お父さんの頑張りが伝わって来た、ウン!」




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感謝です

俺:「ここもかよ……」

そうなのです。
またまた、滝へのアプローチ道路が、自然災害復旧工事のため、
時間帯毎に交通規制されていました。

俺:「これで滝前が荒れていたら、もう泣くしかねえな」

もう、ほぼ諦めて、覚悟を決めていたわたくしでした。
ところが!

宇嶺の滝_その1
宇嶺の滝(落差70m)・全景】(静岡県藤枝市瀬戸ノ谷 『宇嶺沢』

子:「これはアタリだ!」
娘:「キレイな直瀑!」
妻:「これぞ、静岡の名瀑って感じね」

あまりの素晴らしさに、滝前に立った時、
わたくし、何度もガッツポーズしてしまいました。

俺:「そうだろそうだろ」

写真や映像からも、その素晴らしさが伝わるのでしょう。
家族も大絶賛です。

兄:「ようやく滝らしい滝が来たか」

宇嶺の滝_その2
【宇嶺の滝・落口付近アップ】

子:「落口の奥にもゴルジュが続いているぜ」
娘:「ねね、小滝が幾つもありそう」
子:「宇嶺の滝が、連瀑帯のトリを務めてるってワケか!」
兄:「これはロマン」
妻:「…そうなの?」

あ、いや、
落口の上流部は地形的にかなり厳しくて、
そこまで確認できませんでした。

俺:「美瀑に辿り着けた感激で、それどころじゃなかったし」

宇嶺の滝_その3
【宇嶺の滝・中段部アップ】

娘:「涼しげだね~」
子:「お母さん、こういうの好きでしょ」
妻:「そうね。真夏の納涼向きかも」

ちなみにわたくし、交通規制の時間帯に合わせるためもあって、
滝前で2時間ほど、
納涼を兼ねて、瞑想させて頂きました。

俺:「至福だったわ」
兄:「瞑想って…寝てただけじゃね?」

む。

子:「……」
娘:「……」
妻:「……」

とまれ!

宇嶺の滝
この百選級の良瀑に出会えたことに感謝です




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