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Waterfalls in Japan

夏休みの自由研究から始まった、滝をめぐる家族の冒険譚!

第一の滝

幻の滝。

そう。
那須の御用邸の敷地内にかかっていた、
一般の目にはなかなか触れることのなかった駒止の滝

それが、2011年に今上陛下の御意向を受けて
「那須平成の森」として観瀑台が整備されると、
この名瀑を、誰もがお手軽に観瀑できるようになったのです。

駒止の滝
駒止の滝(落差20m)・全景】(栃木県那須町大島 『余笹川』

子:「おやじ、これ、駒ヶ滝の間違いじゃね?」

実は、次男君の愛読書によると、
「駒ヶ滝」が本名で、「駒止の滝」は別名になっているのです。

俺:「しかし、今や駒止の名こそ、今上陛下の御意向を受けての正式名称やな」
妻:「そういうことなんじゃない?」
娘:「しかもほら、写真集の方は1998年の撮影になってるから」
子:「あり? ホントだ」

恐らく駒止の滝という名は、
「那須平成の森」がオープンしてから周知されたものではないでしょうか。

兄:「要は、那須の御用邸には、敷地内に落差20mの美瀑がかかっていたと」
俺:「そや」
兄:「それを一般に公開したと」
俺:「そや」
兄:「ウ~ム。なんかスケール感が違うわ~」

しきりに感心している長男君。

娘:「ウチじゃ、絶対ムリだよね~」

娘よ。
我が家のいったいどこに滝がかかる要素があるというのだ……。

子:「しかも、ただの美瀑じゃないんだゼ」
兄:「ほう?」
子:「さらなる二つ名は『那須第一の滝』!」


間。


兄:「……それで?」




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蛍を越える

俺:「あれれ。水が、思ったよりもキレイじゃない」

わたくし、新潟県ナンバー・ワンの美瀑と謳われることの多い
大尾不動滝を訪瀑したのです。

俺:「滝壺の流木も汚い感じやし……」

ところが、思ったよりも水が濁っているし、
滝壺には朽ちかけた流木やら何やらで、
期待していたような“美瀑”とは、かなり違っていました。

俺:「う~む。来る季節を間違えたのか……」

大尾不動滝_その1
大尾不動滝(落差20m)・全景】(新潟県阿賀町七名)

妻:「写真映りは問題ないわよ」
娘:「ウン、キレイだよ~」
兄:「まあ雨天だったようだし、水が濁るのは当たり前じゃね?」
俺:「いや、そういう濁り方じゃなかったんだよ」

あれですね、こう、川面がプクプクと泡立って、
群馬の熊川にかかる魚止めの滝を彷彿とさせる感じだったのです。

妻:「近くで見たら、汚れが目立ったってパターン?」
俺:「そうね」
娘:「臭いは?」
俺:「若干ね」
兄:「……」
子:「原因はコレだろ!」

いきなりビシッと指差す次男君。

子:「ほら、地図だと、すぐ上流に湿地帯があるから」
娘:「うわ、ホントだ」

大尾不動滝_その2
【大尾不動滝・上段部】

国土地理院の地形図を覗き込む次男君のもとへ集まってくる我が家。

兄:「確かに、沼とかなら水が濁り易いかもな」
娘:「よどんだ水に、プランクトンが大繁殖!」
妻:「そこは藻とかじゃないの?」
子:「プランクトンって、まるで赤潮みたいに聞こえるわ!」

そう。
なんと大尾不動滝のすぐ上流には「たきがしら湿原」というのがあったのです。

妻:「しかもこの湿原、人工だって!」
子:「は? なんだとう?」

早速スマホで検索した妻から驚きの声。

兄:「うわあ、結構な観光地でやんの」
娘:「けどホタルの名所だってよ」
妻:「道路だって、ずっと川沿いに走ってるじゃない」
子:「う~ん。こんだけ開発されてたら、下流に清流は望めないわ」

あれ?
でもホタルって、清流にしか棲めないんじゃなかったけ?

子:「滝好きの求めるレベルは、ホタルを越えるんだよ」


……。


大尾不動滝_その3
【大尾不動滝・落口】

妻:「写真だと美しいのにね」
娘:「ビデオでもキレイだよ」
俺:「そりゃ、そうは言っても穴場の美瀑だからな」

いつもの写真集にも、非常に美しい若葉の頃の滝姿が載っています。

兄:「ズバリ、映像で愛でる滝」
子:「ウ~ム。兄貴の意見に賛成だわ」




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日本No.1

いわゆる「滝屋」と呼ばれる方々の間で、しばしば「日本No.1」に挙げられる
白山系の秘境の滝、「百四丈の滝」

わたくし、当初は滝壺にビバークして、その日本一であるところの所以を、全身全霊で体感してこようという計画を立てていました。

俺:「しかし、甘かったのだ!」
子:「は?」
娘:「まさか滝壺に泊まれなかったの?」
俺:「ああ」
子:「ええーっ!」
妻:「でも、あなた、『これで完璧だ!』とか言って、色々パッキングしてたでしょう」
俺:「ああ」

何というか、滝壺に辿り着く前に、色々力尽きたという感じでしょうか。

俺:「でもな、そのお陰で、美しい滝の全景を堪能することができたのだ!」
子:「……」
娘:「負け惜しみ?」
俺:「断じて違う!」

百四丈の滝_その3
百四丈の滝(落差90m)・全景】(石川県白山市尾添 『丸石谷』

子:「うおおっー!!」
妻:「これは……」
娘:「なんか圧倒的じゃない?」

そうなのです!
一言で言うと、ズバリ「完璧な直瀑」

子:「この、落口から滝壺まで何物にも触れることのない瀑水よ!」
娘:「それ!」
妻:「ちょっと、滝の王道を極めてない?」
娘:「それそれ!!」

しかも今回は、滝見場で3時間余りを過ごして、ガッツリ長時間「バイノーラル録画」をして来ました。

娘:「ねね、動画の迫力がスゴイんだけど…」
俺:「フフフ。まかせろや!」
子:「う~むスゲー」

百四丈の滝_その5
【百四丈の滝・滝壺アップ】

当初、わたくしが選んだのは、白山一里野温泉スキー場から加賀禅定道に入り、奥長倉避難小屋を経て、美女坂から天池へ到る二泊三日の登山道コースでした。

俺:「で、なんで滝壺まで行けなかったかと言うとだな……」

◆加賀禅定道が長すぎた
◆水場がゼロ
◆標高が上がって気温が下がるまでが長く、暑さでバテバテ
◆天池から百四丈の滝へ下るルートの登り返しが、現装備ではムリだと判断
◆急に予報が変わり、三日目の天候が崩れることに


妻:「つまり、色々と足りなかったのね」
俺:「すまない」

まず、初日に熱射病寸前となって、正午には、奥長倉避難小屋で体調回復のために、早々と宿泊モード。

俺:「ホントは、初日の内に滝壺まで降りる予定だったんだけど……」

次に、翌日の天池から百四丈の滝へ向かって下るバリエーション・ルートで、現状の沢靴とピンソールではスムーズな登り返しができず、途中で体力が尽きると判断。

俺:「30分ほど降ったところで、早々に諦めて登り返したんだがな…」
娘:「うん」
俺:「笹で滑って滑って、1時間半かかりました」
娘:「うわあ……」

もし、仮に百四丈の滝へ挑戦し直すなら、

●滝壺には泊まらず奥長倉小屋で二泊とし、テントの類を無くす
●水は4L持ち、うち2Lを奥長倉小屋にデポする
●ピンソールではなく、アイゼンを携行する


こんな感じにすると思います。

娘:「水不足はどうしたの?」
俺:「天池の水を煮沸して、冷ましてからペットボトルに詰めたわ」
妻:「そんなの飲んで大丈夫なの?」

登山地図では、一応「煮沸飲料可」とはなっていましたが……

俺:「煮沸してる間、お湯の中を赤色のヒモ状ものが駆け回るんだよ」
娘:「ちょっと!」
俺:「冷ますと消えるんだけどね」

できれば、あまり飲みたくなかったです。

百四丈の滝_その4
【百四丈の滝・落口アップ】

俺:「でも、滝見場からの景色は素晴らしかったぜ!」
子:「まあ、一部分をド迫力アップよりは、美しい全景が先なのは認める」
娘:「それはそうだ」
妻:「ま、そうよね」

うむ、
我が家の総意は、やはり、「まず全景を!」。

俺:「そういうワケで、今回、百四丈の滝壺は俺の力量を超えていたということで、勘弁して欲しい」
妻:「大丈夫。これだけで充分に日本ナンバー・ワンだって伝わってくるから」

おお、妻が優しい!

子:「そりゃ日本一は、どこから見ても日本一だしな!」
娘:「そうだ。お父さん頑張った!」

おおお!!




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猛烈感動

崩落によってほぼ一段滝となってしまった大山滝に、いささか失望してしまっていたわたくし。

俺:「ふおおお。これ、めちゃくちゃ良滝やんけ!」

観瀑台から眺める鱒返しの滝の予想以上の美しさに、猛烈感動!

俺:「もう百選滝、こちらに差し替えでいいと思う!」

鱒返しの滝_その1
鱒返しの滝(落差47m)・本瀑】(鳥取県琴浦町山川 『一枚岩渓谷』

この鱒返しの滝は、本瀑の上流に3mの小滝、
本瀑のすぐ下流に二段の小滝と、下の滝13mを従えています。

俺:「落差47mってのは本瀑だけの落差やな」
子:「つまり、全部で70m位になるワケか!」
俺:「せや」
妻:「結構デカイわね」
娘:「じゃあ、鱒返しの滝、ホントは大山滝の倍近くあるんだね」

大山滝鱒返しの滝との決定的な違いは、
あちらがズドーンと直瀑で来るのに対し、
こちらは中ほどでフワッとふくらむ分岐瀑っぽい感じなのです。

子:「昔の直瀑二連発な大山滝なら、確かに強烈なインパクトだっただろ」
娘:「鱒返しの滝は優しい感じだよね」
妻:「その印象の差が、百選の分かれ目だったんじゃない?」

崩落前の大山滝が落差43m。
鱒返しの滝本瀑が落差47m。

俺:「だよな。見かけの落差がほぼ同じなら、ま、迫力のある方を選ぶだろ」
娘:「でも今の大山滝、魅力も迫力も半減してるじゃん」
俺:「それや」
子:「だからだろ。親父が、百選鱒返しの滝に差し替えろって吠えてるのは」
俺:「あ…いや…」

別に吠えてはいないです。

鱒返しの滝_その2
【鱒返しの滝・本瀑落口】

観瀑当日は、とにかくセミの鳴き声で滝の音がかき消されてしまうくらいの感じでした。

子:「まさに夏真っ盛り」

観瀑台のテラスは振動に弱く、撮影中、わたくしがちょこっと姿勢を変えるだけで、画像がブレブレになってしまいます。

俺:「かと言って、他に撮影できるスポットは無かったし」

観瀑台から滝まで割と距離があったので、ちょっとした揺れでも、ダイレクトに映像に出てしまうのです。

子:「これだけセミの声が入っていると、滝なのに、暑苦しく感じられるねえ」
娘:「言えてる」
妻:「まるでセミのせいで、映像がブレてるみたいじゃない?」


間。


子&娘:「「ホントだ!!」」

鱒返しの滝_その3
【鱒返しの滝・本瀑滝壺】

俺:「そして下の滝13mは、なんと裏見ができるらしいのだ」
子:「おお!」
俺:「時間が足りなくて行かなかったけど」
子:「おお……」
娘:「最近、いつもじゃん」
俺:「すまない」

でも、この鱒返しの滝
上流の一枚岩渓谷とか、下流のゴルジュ裏見の滝とかがあって、
PR次第では、大山滝より、遥かに魅力的になると思います。

俺:「だから鱒返しの滝こそ、今、伯耆大山山系のナンバー・ワン滝なのだ!」
子:「ま、そうだろうねえ」
妻:「下剋上っぽいわね」
娘:「あれだよ、お父さんが猛烈感動したってのは、伝わってきたから!」




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祈りたい

かつて落差43mの美しい二段滝だった、名峰・大山にかかる「大山滝」

俺:「ところが、2011年の台風12号で、滝下の右岸が大崩落」
娘:「ホント?」
俺:「下段の滝壺がほぼ埋まり、今では落差31mになってしまったのだ」

大山滝_その1
大山滝(落差31m)・概観】(鳥取県琴浦町中津原 『地獄谷』

娘:「うわあ」
妻:「これじゃあ、写真集とは全く別の滝じゃない」
俺:「そうなのよ」
子:「しかも、1934年の室戸台風の前は、更に三段の滝だったんだって」
妻:「え? ホント?」
俺:「ホントです」

大山滝は、もともと三段の段瀑だったのですが、
室戸台風時の崩落で二段となります。
そして2011年の台風で、ほぼ一段の滝へと変貌してしまいました。

娘:「なんで崩落しまくり?」
子:「ふむ。なんでだろう」

大山の主な火山活動は一万年前には終了しており、
火山としては古い部類に入ります。
もしかすると、これが、崩落が進み易い理由の一つかもしれません。

俺:「別の言い方をすれば、火山の開析が進んでる、ということなんだろう」

大山滝_その2
【大山滝・下段】

俺:「さらに、崩落した右岸の崖なんだがな…」
娘:「うん」
俺:「見上げると、まだまだ崩落途中の感じやったわ」
子:「げ、マジか!」

もしかすると、一段目の主瀑布も、
今後の崩落状況によっては、だいぶ埋まってしまうのではないかと思われます。

子:「僕、大山滝が、できるだけ永く滝である続けることを祈りたい

大山滝_その3
【大山滝・上段落口付近】

妻:「でも、更に崩落の危険があるって……ここ、観光地なんでしょ」
俺:「まあ、そうなんだけど」

そしてなんと!
登山道を戻ってきたら、一向平野営場のゲートで「登山届け」を出さなければいけなかったらしいことが発覚しました。

娘:「滝に行くだけで?」
俺:「そう」
妻:「小学生でも充分に楽しめるコースだったんじゃないの?」
俺:「それでも、届け出すらしい」
娘:「えええ」
子:「ここは逆に考えるんだ。崩落の危険があってもなお滝を見せてくれるなんてラッキー!」


娘&妻:「「……」」


我が家の滝訓として、よく「一期一会」というフレーズが飛び交いますが、
今回の大山滝訪問は、特にそれを強く感じさせてくれました。

子:「あ~あ。美しい二段滝のうちに訪瀑しておきたかったねえ」
俺:「いかにも」




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