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Waterfalls in Japan

夏休みの自由研究から始まった、滝をめぐる家族の冒険譚!

日本離れ

俺:「スゲー! 日本離れしてら」

わたくし、遂に東北の難関「百選の滝」、『松見の滝』前に立ったのでした。

松見の滝_その2
松見の滝(落差90m)概観】(青森県十和田『黄瀬川』

支流・黄瀬川が奥入瀬川に流入する辺りに、松見の滝・観瀑者向けと思われる駐車スペースがあります。

俺:「朝早いのに、地元の軽トラが止まってるな……」

そこに駐車すると、いよいよ片道4時間近い林道歩き。
熊対策として撃退用スプレーと熊鈴2個をセットすると、ゲート脇をすり抜けて林道に入ります。

俺:「あれ? なんでこんなところに自転車が?」

途中、いかにもママチャリといった感じの自転車が、川辺に止めてありました。
よく見ると、色々と釣り関係の道具が積んであるようです。
恐らくは、先ほどの軽トラ持ち主さんではないでしょうか。

俺:「釣り師か。こんな早朝から、こんな奥地まで自転車持ち込みなんて、スゲー執念やな」

松見の滝_その3
【松見の滝・アップ】

子:「いやいや、釣り師から見たら、親父こそストーカーだから!」
俺:「は?」
娘:「わざわざ重い撮影機材背負ってるしね」
妻:「でも、ストーカーとかは酷いんじゃないの?」
娘:「せめて滝狂いだよね」
妻:「もっと酷いじゃない……」

久々にバイノーラル録音にて長時間動画を撮影したので、その映像を皆で楽しみながら、わたくしが折々に解説を入れて行きます。

俺:「あと、途中で民間会社の私有地を通らせて頂くんだけどな」
みんな:「「うん」」
俺:「管理人と思われる人が、猟犬を2匹連れて見回りしてたのには驚いた」
娘:「猟犬?」
俺:「おう。でっかいオオカミみたいでビビるで!」
子:「熊か。 熊対策なんだろ?」

道中、2回熊と接近遭遇しましたので、確かに熊対策というのはあるでしょう。

俺:「でも、こちらの担いでいた三脚をジーッと見てたから、違法な釣りや採取を取り締まってたんだと思うぞ」
妻:「釣具かどうか、見られてたってコト?」
俺:「そう。威圧感が半端なかったぜ」
子:「国立公園だからねえ」

でもまあ、見れば滝見に来たことがすぐに分かる格好でしたから。

妻:「いえいえ。沢靴に渓流用スパッツにヘルメット。これでカメラと三脚がなければ、間違いなく釣り師ね」
子:「言われてみれば、オヤジみたいな本格的滝見って、釣り師と区別が付かねえ」
娘:「ホントだ」


……。


松見の滝_その4
【松見の滝・アップ】

俺:「滝もスゲえんだが、周りの景観に圧倒されたね」
子:「火山性の渓谷だっけ」
俺:「そうや」
娘:「柱状節理?」
俺:「そうや」

わたくしが見たのは滝周りの景観だけですが、
実は、滝の下流からずっと、見事な柱状節理の断崖が続くのだそうです。

俺:「あまりに周りが凄いので、最初、滝の落差が60m位に見えたんだけどな」
みんな:「「うん」」
俺:「滝に近づいたら、全てが日本離れしたスケールだったことに気がついた」
妻:「なんか凄いわね」

近づけば近づくほどに、自分の小ささが実感されます。

娘:「ねえ、なんかそれ、どっかで聞いたことある」
子:「三重の大杉谷と似てね?」
娘:「それだ!」




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初めてのログ

子:「お父さん、ちょっといいですか」

ある日のこと。
次男君が随分と真剣な面持ちで、わたくしに頼みごとをしてきました。

俺:「どうした?」
子:「あのですね、ブログのことなんだけど……」
俺:「ブログ?」
子:「滝とか行ったときのログを公開できないですか?」
俺:「お?」

次男君が言うには、余所様のブログを開くと、滝までの行き方や、その足跡の詳細な履歴が載っているのに、我が家のブログにはそれが無いので、寂しいらしいのです。

俺:「お前ら、どう思う?」
娘:「我が家のワイワイ感が伝わればいいんじゃないの?」
妻:「でも、最近は、滝に行ってるの、お父さんばっかりよ」
娘:「…確かに」
妻:「あれね、ログくらいは載せてもいいんじゃないかしら」

ふむ。

ボンクラ沢不動滝_その1
ボンクラ沢不動滝(落差60m)概観】(愛知県豊根村富山『ボンクラ沢』

ボンクラ沢には、水神滝の下流に、不動滝がかかっています。

俺:「水神滝は落差65m。不動滝も60mもあるんだ」
妻:「連瀑なの?」
俺:「そうじゃない。けど、高瀑が密集しているのは間違いないね」
娘:「一気に130m近く水が駆け下りるって、凄いね」
俺:「そしてこれが、不動滝訪瀑時のログだ」

ボンクラ沢不動滝・GPSログ
【ボンクラ沢不動滝・訪瀑ログ】

娘&妻:「「おお」」
娘:「これがログ!」
子:「ログは分かるんだけど、こっちの赤い太線は何?」

ログによると、訪瀑時のわたくしは、斜面を横にトラバースしたことになっているのですが、
実際は、尾根上を移動していました。

娘:「つまり、太線が実際に歩いたルートってこと?」
俺:「あくまでもイメージだけどね」
子:「なるほど」
妻:「結構、ログが荒れてるわね」
俺:「まあ、谷底ほどGPS電波を拾い難くなるからな」
子:「で、お父さん、この赤点は何?」

赤い太線上にある丸点のことですね。

俺:「スズメバチの巣だ」
みんな:「「は?」」
俺:「恐らくは、モンスズメバチかクロスズメバチ」
みんな:「「……」」
俺:「倒木の洞に巣を作ってたわ」


間。


妻:「よく刺されなかったわね」
俺:「働きバチが警告に来たからな」
みんな:「「ああ…」」

ボンクラ沢不動滝_その2
【ボンクラ沢不動滝・下部】

俺:「何より、愛知県下で一番キレイな滝だった!」
娘:「ええ~? 阿寺の七滝の方が美しいよ」
妻:「そもそも、一番とか断言できるほど、愛知県の滝、行ってないでしょ」
子:「それはそうだねえ」
娘:「ホントだ……。5つ?」


……。


子:「今後の目標が決まったな」




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全然違う

以前から、その特異な沢名が気になって仕方がなかった「ボンクラ沢」

子:「不動滝があるところだったっけ」
俺:「そうや」

三遠南信道の鳳来峡I.C.から、佐久間湖に沿って走る極細の県道1号線を走行すること約2時間半。
途中、このすれ違い不可能な狭小路で、何度も対向ダンプカーと遭遇しました。

俺:「まったく死ぬ思いをしたわ」
妻:「なんで、そんなにダンプが走ってるの。砂防工事?」

地図上では新豊根発電所と記されている所から、引っ切り無しに土砂をたっぷり積んだダンプが出入りしているのです。

子:「ダムに堆積した土砂を運び出しているんじゃね?」
俺:「う~む」

それでなくても、富山(とみやま)地区から降りてくる車があって、全く気を抜けない県道1号線。
ようやくボンクラ沢上に架かる不動橋に到着した時、わたくし、既にグッタリしていました。

水神滝_その1
水神滝(落差65m)・概観】(愛知県豊根村富山 『ボンクラ沢』

娘:「うわ、キレイな滝じゃん」
妻:「でも、映像のコントラストがキツイ?」
子:「上部がよく見えないし。ちょっとアップしよう」

水神滝_その3
【水神滝・上部アップ】

子:「おお。落差だけじゃなくて、意外と奥行きもあるじゃんか」
娘:「デカイし」

完全沢装備で不動橋から入渓し、ゆっくり遡行すること約30分。
右岸から大岩が迫っている箇所を抜けると、一気に眼前が開け、ドーンと水神滝が目に飛び込んで来ます。

俺:「滝前が開けていて、直射日光が差し込むもんだから、どうしてもコントラストが強くなってしまうんや」

水神滝_その2
【水神滝・二段目アップ】

みんな:「「おお!!」」

娘:「これは凄いヒョングリ!」
妻:「キレイに跳ねてる」
娘:「ココが、この滝のハイライト!」

二段目のヒョングリを見た途端、ワッと盛り上がる我が家。

子:「全然ボンクラじゃないねえ


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大いなる神秘

中の滝と並ぶ巨瀑の「西の滝」

俺:「西の滝は、通常、落差200mとされている」
娘:「うん」
妻:「え? それって、中の滝とは50mだけしか差がないってこと?」
俺:「そうや」
妻:「それにしては、西の滝が低く見えるんだけど…」
俺:「そこなんだよ」
娘:「ホントだ……。100mくらいに見えるかも?」
子:「う~む。言われてみれば……」

西の滝_その1
西の滝(落差200m)・概観】(奈良県上北山村小橡 『東ノ川渓谷』

西の滝は、全部で6段あるとされています。

俺:「しかし、よく見えるのが、下の5段目と6段目だけなんだな」
妻:「これね」

実は、上部の1段目から4段目まではゴルジュ帯となっていて、
プロの沢クライマーしか拝むことができないらしいのです。

子:「確かに、上の狭隘なゴルジュに滝があるのが分かるわ」

西の滝_その2
【西の滝・上部】

完全に岩間に隠れた4段目が、およそ落差45m。
しっかりした滝壺を持っているらしい3段目が、落差25m。
もはや写真ではよく分からない2段目が、落差30m。
そして、最上の1段目が落差20mとのこと。

娘:「おお、見えないとこだけで、120mもあるじゃん!」
俺:「そうなのよ」
子:「半分以上が見えてないのか!」
妻:「中の滝以上の秘瀑じゃないの」

一説には、中の滝と同じ、落差250mあるとも云われており、
滝上部の余りのゴルジュっぷりに、未だに正確な落差が測られたことが無いようなのです。

子:「う~む。これは、大いなる神秘ロマンを感じさせるねえ」

西の滝_その3
【西の滝・最下段6段目】

俺:「しかも、今では、許可が無いと立ち入れない保護区域になってしまった」
娘:「プロじゃないんだから、どっちみち、行けない事に変わりはない」
俺:「やかましいわ!」

そして、この写真を撮影していた辺りから、急に空が曇り始めました。

俺:「もうね、三脚畳んだら、速攻で歩き出したね」

大台ヶ原ビジター・センターに着いて暫くすると、
一気にとんでもない雷雨に。

俺:「そういうワケで、道なき尾根を最短で踏破しました」
子:「それ、なんか嫌な予感がするんだが…」
俺:「はい。東の滝はパスしました~」
子:「またか! またそのパターンなのか!」

すみません。




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スピード感

俺:「むう。どうするか……」

滝は一期一会。
この機会を逃せば、今度、いつ訪瀑できるのか見当もつきません。
しかし、天気予報を見れば、午後から辺り一帯は雷雨の予報。

俺:「雷雨は嫌だしなあ……」

以前、阿多野郷川東谷大滝で、嫌と言うほど体験した雷雨の怖さ。
あの再現だけは避けたいのです。

俺:「仕方ない。午前中の晴れ間に賭けてみるか!」

逡巡すること1時間。
結局、わたくし、
荷物を極限まで切り詰めて、晴れ間のスピード勝負に出ることにしたのでした。

中の滝_その1
中の滝(落差250m)上部遠望】(奈良県上北山村小橡 『東ノ川渓谷』

子:「うおっしゃあ、来た来た、中の滝だ!」
妻:「う~ん。これ、上半分しか写ってないわよ?」

そりゃまあ、スピード勝負でしたから、
いつものような、ベスト・ポジションを探してとか、ベスト・タイミングを待ってとか、そんなのは一切端折りました。
仕方がありません。

俺:「中の滝が見えたら、即行で三脚を立てて、撮影を開始したからな」
子:「やっぱ中の滝はスゲえな!」
娘:「なんか、もったいなくない?」
妻:「百選滝のクライマックスの一つなんだし、もうちょっと何とかならなかったの?」
俺:「そうやなあ……」

一応、下部も撮影を試みはしましたよ。

娘:「どれ?」
俺:「ホレ!」

中の滝_その2
【中の滝・下部遠望】

娘:「なんだ、木が邪魔してるじゃん」
子:「それでも、やっぱり凄いぞ!」
妻:「しかも、録音の質が悪いわ」

そりゃまあ、スピード勝負でしたから。

俺:「いつものバイノーラル録音だって、パスしたに決まってるだろう」
娘:「やっぱり、メッチャもったいない」
子:「いんや。そんこと、どうでもいいね!」
娘:「は? どうでもよくないことなんて、ないでしょ!」
子:「まずは、この日本離れしたスケール感を感じ取ろうゼ!」


間。


妻:「あなただけ、異様にテンションが高いわね」
娘:「あんたのお気に入りの滝だったっけ?」
子:「フ……」

わざとらしく前髪を掻き上げる次男君。

子:「オヤジ。この哀れな迷い人たちに、全体が分かる映像を見せてやって」
俺:「了解です」

中の滝&西の滝_その1
【中の滝(右)と西の滝(左)】

妻:「……」
娘:「ビミョ~」


間。


子:「なんか、スピード感溢れる写真だ……」






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